ヘルシンキ 生活の練習 --- 朴沙羅/著 ちくま文庫 2024なんとはなく手に取ったのだけど
「はじめに」がまずむちゃくちゃおもしろくて
すっかりハマって読んでしまいました
筆者はたぶん30代くらいの社会学の研究者で
フィンランドに職を得て
就学前のお子さん二人を連れて移住
とはいえ日本には夫と家があり行き来しているのだけれど
ちょうどコロナの始まったあたりでそれはそれは大変そう・・・
お名前からもわかるように韓国系のルーツの方で
小さい頃からきっと国とか国籍とかいうことを考えすぎるほど考えさせられる環境で
大きなプレッシャーと共に生きてきて
フィンランドに行く決心をされたのもそれが背景にあり
本書にもその辺りの経緯が書かれています
なんですが
軽妙な関西弁がユーモラスで
日本からも韓国からも遠い(価値観や考え方や発想も)国
フィンランドの様子が興味深いです
そして
「だったら、どこでどんな風に生きていようと、
『困った』『しんどい』『助けて』と、
素直に言えばいいのです。
それくらい、他人と法律と制度をーー社会をーー信じていいはずだし、
他人に『自己責任』などと冷たい言葉を投げかけて上から目線を楽しむくらいなら、
自分も他人も信じられる社会を作るべきなのです」フィンランドの発想の
冷静さ
シンプルさ
客観的さ
先入観や感情的なバイアスの少なさ
にはちょいちょい驚きます。ええと、ほんとに、そうだよね・・・!
一例。
「『感受性が豊かだ』『好奇心が強い』『共感力がある』『根気が続く』といった、
通常なら性格や才能などと結びつけられてしまいそうな事柄が
『スキル』と呼ばれている」つまり
練習したら身につくものなので練習の機会を与えられるべき
と考えられているそうなのですねー
これは
いいねー心が楽になるわ。
人間というものをよく見つめているプロセスが
基盤にあるというのはいいものですね
だから
例えば幼稚園には毎週1回
「日々の体験から色々な感情を言葉にする練習の時間」
っていうのがあるのだって。
感情を言葉にする練習。
家庭でこれをできない子どもは日本だと集団でまず苦労するでしょうし
自分もイライラや歯痒さや(そして内外への破壊行動となったりも)
辛さをうちに抱えることになってしまうよね
(それがちゃんと認識されてプログラム化されているってすごいです)←これはフィンランドだけじゃないけど
そして自分でそういった感情に名前をつける。
ってこともできるようになろうというもの
そして
扁桃体を育てることができるよね
人生の質がよくなるよね
日本でそういう発想にならないのはどうしてなんでしょうねー
一年中寒いんだけど唯一気候の良い6、7月を夏休みに充てるフィンランドと
寒すぎる、暑すぎる時期を夏休み冬休みに当てる(気候が悪くて勉強に向かないから)日本て
やっぱりそもそものところが違うなぁと
しみじみ思っちゃったりもするのでした
あらなんだか散漫な感想になっちゃった。