馬のこころ Horse Brain, Human Brain: The Neuroscience of Horsemanship --- ジャネット・L・ジョーンズ/著 尼丁千津子/訳 パンローリング 2021アマゾン見てみたら2021年11月に買ってた。読み終えるのに3年近くかかってた。
たぶんだけど、今思えば、
ウマのことをある程度はわかっていないと興味深く読めないのよ。
著者は脳科学者だそうで、長年馬にも携わって乗るだけでなく調教などもしているそうな。
(若いころ落馬して脳にダメージを負って断続的な健忘症を患うようになり、
そこから脳に興味を持って学ぶようになった、ってYouTubeで言ってた)
すごく貴重な内容満載な本なので、最初のほうに読んだ(思い出すのにたぶん2回読んだ)ことはもうわすれているし
何回も読み直したい本ではあるのですがまずは読了後の感想としては
馬を理解するのに馬の脳の働きや癖や「人間の脳との違い」を学ぶことは
必須やなー
ってことでしょうか
犬にでもそうだもんね
擬人化して考えるもんね
犬(馬)にこれをしたらかわいそうとか
これが好きだろうとか
ちがうもんね
犬(predator)でもずいぶん違うってのに馬(prey animal)ではなおさら!!!
好きなら、そしていっしょになにかしたいなら
相手のことを理解しなくっちゃだよね
例えば思いやりの置き場も間違ってしまうものね。
ということで
ほんの少しですが、何度も思い出したいところを抜き書き。
目の違い: 桿体が多く、「動き」を読み取ることにたけている。素早い小さな動きを察知する
鼻の違い: 例えば、ストレスホルモンをかぎ分けることができる。
自信をはぐくむために、なんでも匂いを嗅がせるのがよい
扶助と解放: 必ず解放する。使い続けると、神経系の疲労によりその力を感じなくなる。音声も含む。
馬には前頭前野がない: カテゴリー知覚をしない。(代わりに、かすかな違いを把握する)
考えず瞬時に反応するのも前頭前野がないから。
評価しない。目標を立てたり結果を予想したりしない。検討、計画、戦略を立てたりしない。
だから悪意を持った意地悪や嫌がらせもしない。
集中ではなく反応する。注意する時間を増やしていくことが、集中の訓練
人間の脳と馬の脳は、お互いの
固有受容覚によってコミュニケーションをしている。
なのでよりよい乗馬のためには
・乗り手の人間が固有受容覚を発達させる必要がある。反応時間も早くなる。(馬にも伝わって馬の固有受容覚も鋭くなり、両者の体を通したコミュニケーションが取れるようになる)
・筋肉の分離ができるように訓練する。(個別の筋肉だけを、他と切り離して動かせること)
ミラーニューロンの働きを活かす(誰かがうまく乗馬しているところを見る!)
「試して学習」は馬の生来の性向。
馬は人を試す。でもそれは、人が何を望んでいるのかを知りたいから。
圧迫と解放: 数秒間のうちに解放することで、脳内で結びつく※
そして報酬は2,3秒以内!
「負の強化にはすぐに対応しなければならない」「負の強化はウマに従って反応することを教えるが、ウマとウマを扱う人のあいだに強い信頼関係を気付くものではない」馬を構いすぎない。人とのかかわりは一日2時間程度に(ストレスになるし、恐怖心の強い、臆病な馬になる)
ところで
わたしの個人的なことでいうと
最近痛感したのがこれ(↑の※)です
「馬は3秒たったら忘れる」って聞いたことがあったけど
ほんとにマジその通りだったのね(先日習った先生には1秒って言われた)
わたしはなんとのんびりと乗っていたことか・・・
馬は本当に人間に対して大目に見てくれてるっていうか、寛大だし
やさしいんだなぁ。。
と読んでて何度も思いました
最後に著者による「ホースマンシップ」の定義はですねぇ
「ウマが最優先」だそうです
「真のホースマンは生涯にわたって学び続け、誰かに教えを乞うことを怖いとも恥ずかしいとも思わない。
どんなウマも、新しいことを教えてくれる。
調教での騒動から始まり人間同士のいざこざに至る何らかの問題が生じたとき、彼らにとって最も重要な問いは『ウマにとって最善の策は何だろう?』」
「ホース『マン』という言葉が依然として使われているのは、
真のホースマンシップ精神を伝えられるジェンダーレスな言葉を、私たちはまだつくりだせていないからだ」いいわ!ほんとに!
最後にちょっとだけ苦言なんですけど
すごい本なのに読みにくいところが結構あって
軽い調子のジョークっぽい言い回しをちゃんと訳してあったりするのもちょっと読みにくいんだけど
それにたとえば
「衝動」「感情」「気持ち」
って違い分かりますー?(特に後の2つ)
何の訳語なんだろうなぁ。情動、っていう言葉とかいう言葉も使えたんじゃないのかなぁ
惜しいーーー