裏庭 --- 梨木香歩 新潮文庫
2冊とも以前に買って、「西の魔女…」が読みたいと思ったら、「裏庭」しか見つからなくて
「裏庭」が読みたいと思ったら、「西の魔女…」しかみつからなくって
といったおもしろいふるまいをする2冊でしたが
(っていうかわたしがどこに置いたか忘れるだけ〜〜)( ´艸`)
読了。おもしろかった。
最後の方の、照美と両親が3人で歩いているところなんて
泣けちゃった。
この作者の物語のすごく素敵なところは
物語の終わりにそれまでのすべてが見事にそして素早く
1点に収斂するところ
そのスピード感と切り口の鋭さに鳥肌がたちまする
さて
隠喩てんこもりのように思える、この不思議な物語を読み解くために、
意味やつじつまを、もとめると分かるところと、
どうにもしっくりこないところも多々あるんですよね(イメージと意味が、1対1対応ではないのかも)
あーこの世界の住民って、それにコロウプたちって
(お庭の)植物なんだ〜
だからたいてい雌雄同体だし、胸に礼砲の音…心臓の鼓動を
持っていないのよね...
とかさ
スッキリ分かると気持ちいいんだけれども
それはともかく
ストーリーは別に
ところどころにいろんな登場人物の口から語られる、
何気ない言葉のナント意味深なこと…
「あってない服を着ているときは、人はその本来の力を出せないものなんだ」
これはスナッフの言葉。
「一つだったものを分解して益になった例がないというに…」
これは、サェルミュラのお婆。
この人は、「傷は育てていかなければならん」とも言いましたっけ。
「傷を、大事にはぐくんでいくことじゃ。そこからしか自分というものは生まれはせんぞ」
「僕は光があまり近くにあるので、暗いところはよく見えない」
タムリンがこう言って。タムっていつも危機が迫ったときにはいなくなるしね。でもそれはあとになって理由が分かる。
「自分の心に深く下りてきいてごらんなさい。自分がどうしたいのかを」
これは口を動かさずにしゃべる彫刻の女の人。照美〈テルミィ〉にこう助言して。
「タム、多分、このずっと上がクォーツァスなのよ。いちばん深いところと一番高いところって、つながってたのよ」
って照美が言うと
「ううん、つながってたって、つなげなきゃ意味ない」
無垢な妖精の姿のタムは、あるものの聖なる(光の)面。でももう一つの奇怪な(暗い)ものと実は…
ひとつのものだったのよね。
「二つのものが、今、一つになったんじゃないんだ。もとは一つだったんだ…
みんな、みんな、一つのものだったんだ…」
っていう、照美の気づきは
成熟した人格のものですよね
解説で、河合隼雄さんが
「この物語のテーマは『死』」と書かれているけれども
わたしには「生」の物語に思えました
生きることは傷つくこと、でもその傷から目をそらさず、
誰かが与えてくれる「癒し」に逃げず、
傷を直視して"育んで”生きることが人間の豊かな生き方。
ってメッセージを強く感じましたし
作中で二つのことは本当はひとつのこと。つながっていること。でもつなげなきゃ意味のないこと。
とあるように
死も生も一つのものの二つの顔なんだわ。
「日本ではねぇ、マーサ。家庭って、家の庭って書くんだよ」
ってすごく心に残りました。なぁるほどぉ。
だからこの物語のタイトルは、「裏庭」であって、「バック・ヤード」ではあり得ないのだわー…
英語に翻訳されるときはどうなるんでしょうね??
(紹介は、"Backyard" だった…)
ちょうど桜の咲く時期に読めたことが何よりの幸せでした
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