かかし --- ロバート・ウェストール/作 金原瑞人/訳 徳間書店
「弟の戦争」「クリスマスの幽霊」とは結構違って
長いし、対象年齢も少し上(中学生くらい?高校生でもいける?)だし、なにより、シニカル…
この年齢(もうすぐ14歳)の少年の目から眺めているからなんですよね
この世には、美しい、優しいものだけじゃなくて邪悪だったり、醜かったりするものもあるんだって
しかも彼の孤独が、閉ざした心が、それらに対して余計敏感にさせていて
主人公は、イギリスの寄宿学校で暮らしてる男の子。
親元を離れ、ある意味残酷でもある子どもの集団で、やっていかなくちゃいけない。
大好きだった軍人のお父さんは戦死、若くてはつらつとしたお母さんは、妹と暮らしてて、突然再婚…
そんな彼の周りには悪魔がいていつも機会をじっと待っていて
彼が胸を開いて招き入れるやいいなや入ってくるのです
この悪魔の描写は彼だけにあって、
でもそれはきっと主人公(で、この物語の語り手)だからであって
これは誰しもそういうことありますよね…っていうことを
誰しもの弱さ、不確実さ…みたいなものを書いているおはなしのような気がします
登場人物はほとんどみんなこの主人公にひどい言葉を投げつけるけれど
特にお母さんなんて、読んでて「ひどい…」って思いましたけど
でもやっぱり息子を愛している一人の母親に変わりはないわけで
だれしもそんな「悪」がすっと入ってくる(あるいは呼び入れる)瞬間があるものだ…
作中でどんどん近付いてくるかかしたちは
主人公のすさんだ心が呼び覚ました過去の亡霊、ってことになっていますけれど
なんだかやっぱり自分の心の奥を見るような怖さもありますよね
それにしても
「かかし」って、イギリス文化では怖いものなんでしょうかね?
「ハウル…」のかかしも相当コワそうで、ソフィーはおびえてましたでしょ?
だいたい、カブみたいな腐るものを頭になんてしないし...
日本でかかしっていうと、もっとユーモラスというか、間の抜けた印象がありません?
(オットの田舎では、古いマネキンの頭部を載せたかかしが立ってるのを見ましたよ。テクノカット!)
( ´艸`)
あとがきで訳者の方が、この小説を何度も「怖い」と書かれていましたが
わたしの読後感はどちらかというと「切ない」でした
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