原野にとぶ橇 --- 加藤多一/作 偕成社 1978
図書館で、加藤多一さんの馬の本を手当たり次第借りてきた。
そのなかで
これがめちゃくちゃおもしろかった。面白くて切ない。
たぶん作者の原点っていうか、この方の中にある北海道の人たちの姿、そして馬の姿が詰め込んであって
他の本や絵本にも出てくるモチーフや描写がいくつも入っていた。
北海道の北の方の山間に入植した一人の男の一生と
それを支えた馬たちの話。
うちの母も北海道の山奥の出身で
でも農家ではなかったから、馬は飼っていたのかなぁどうかなぁ。
けど
暮らしの厳しい昔の北海道で、馬はほんとうに大切なパートナーやったのね。
わたしが妙に馬が好きなのは、そんなルーツも関係してるのかなぁなんて思いました。
いつもは弱気なお母さんが、疎開のこどもたちをいじめたらだめだぞ、と息子に言う場面。
「よわいものをかばおうとするときは、やさしさよりも、その人のつよさが表へ出る。
松四は母をはじめておそろしいと思った」
人間の弱さも、強さも、愚かさも貴さもずるさもやさしさも
戦争の罪深さも描かれている。
たくさんの子どもたちに読んでほしい。でも絶版なのね?
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