2020年10月07日

「私の見た日本人」


私の見た日本人 --- パール・バック/著 丸田浩/監修 小林政子/訳 図書刊行会 2013

原著がアメリカで発刊されたのは1966年なのに邦訳がやっと、2013年だったんですねぇ!

著作「大地」が有名な(っていうか、これしか知らないかも(^^;)パール・バックは、ご両親が中国で活動した宣教師だったため
中国で育ち、日本にも(ご両親が日本好きだったんだって)頻繁に訪れときには住んだりもして

私たちのこの国の当時の姿を、好意とともに、
冷静に見て的確につかんでいます。

それがとても面白い。

現在のわたしたちが知らない日本だったりもするしね。

「アイヌはかつて四島に広く分布していました。
その証拠に日本中の地名にアイヌ語に由来する名称が残っています。
たとえば、(中略)富士山の『ふじ』は、アイヌ語で『火』を意味します」
(p.11)

もちろんこの方の的確な目は、日本文化や日本人をほめるだけではなく。

日本と日本人の美しいところも指摘しているし、
「日本人は美なしには生きられません」(p.60)
これは戦時中アメリカで強制収容された不遇の時の日本人の描写ですが、

家のしつらえを説明して
「変化するが芯は変わらない―――これが日本人の特徴の鍵です」(p.103)
と書いてますけど

「食べ物も季節のものをいただきます。日本人の洗練された味覚はほとんど冷凍食品を受け付けません」(p.103)
「老人は知恵と経験ゆえに尊敬されています。(中略)誰からも尊敬されているので老人は誇りを持っています。(中略)素晴らしい人生の終わり方です」(p.104)
「親の子どもに対する態度をひと言でいうとすれば、私は『尊敬』という簡潔な一語をあてます」(p.146)
などは心に苦く感じられる部分ですねー

「娯楽」の章あたりでは、
「日本人にはスポーツマンシップがなく」
「極端に負けず嫌いで、感情を隠そうとしません」
「抑えつけた感情のはけ口なのです」

なるほどぉ。どちらにせよ「感情」は、私たち日本人を理解するときになくてはならない切り口よね。
「感情」ゾーンの人が、欧米人よりも、ずっと多い容貌なんだよね


さて、著者の考察が冴えていると思われたのは

「人情」「義理」「名誉」のあたり。

「私は『人情』を斟酌することが抑圧された個のはけ口になると見ます。
個人にかかる義務の重圧は時に耐えがたく、爆発することは必定です。そういう場合『人情』が償いを提供するので審判はそれほど厳しくありません
」(p.151)

日本の家庭に滞在して、その家の若い夫婦と家族の様子を観察したところがあるのですけど
(その若主人は長男への期待を、「柔らかい網にくるまれ、どこへ行っても離れない」と表現している)
戦後すぐのわたしたちの社会は、今よりもずっと、たとえば長男の義務は大きかったんだよなぁ〜と
この本を読んでいても思ったんでした。

そして日本が戦争へとたどった道も、
指導者への義理、天皇や司令官への義理、であったと論じています。

この義理の感覚は、薄れたかもしれないとはいえ、やっぱり根深く残っているのだとしたら、
わたしたちは用心深くならないといけないわ。

「日本人の性質の二重性」
「日本人は二人います。規律と義理を最重視する公的人間と人情にほだされる非公的人間です。
家族、友人、仕事上の知り合いには細かく気を配る人が、これからも赤の他人であろう見知らぬ人間に出会ったときは、相手に無関心で、思いやりのない、粗野な人間になることが多いは事実です。使い分けは正しいのです」
(p.174)
これ、「旅の恥は掻き捨て」的な感覚ですよね?

これは、この時代よりも変わっていると思いたい。


時空を旅したような感覚。おもしろかったなぁ
posted by しろくま at 21:24| Comment(0) | こんなん読みました^^
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