屋根裏部屋の秘密 --- 松谷みよ子/著 偕成社 1988
本当は「ふたりのイーダ」を読んだあとこの本を買ってたの
でも、この本の前に「死の国からのバトン」が(続編として)あるっていうじゃないですか
死の国…を読むまでは読めないわって手を付けずにおりまして、今回、ようやく…
(本当はさらに「私のアンネ・フランク」が間にあるらしいんだけど、まぁこの際それはいっか、って
飛ばしてこっちを読んじゃいました)
なんかねぇ、やっぱり大人の読み手としてはねぇ
もうごく最初の方であらかた分かっちゃうの、
このエリコちゃんの「じじちゃま」が製薬会社の人で元医者で戦時中は中国にいて、って
あぁあの人体実験してた部隊の人だったんだろうな、って
だけど読み進めていると
松谷さんが、「現代民話」の最終で全国を歩かれたときに
出会った、実際のその舞台にいた人からの証言をもとに書かれたこの物語が
児童文学としては想像を超える正確さで
というより大人って思ってる私もここまで詳しくは知らなかった(知ろうとしていなかった、どこかで読んでも忘れていた)
戦時中の日本軍のおぞましい行為の様子が…
ああわかってるわなんて思った自分が恥ずかしく情けなく
「アウシュビッツだ、日本人も日本のアウシュビッツを持っていたんだ」
って、成長し大学生となった直樹が思うのです
そういえば、日本人とドイツ人って似ていると思う
よく言われることだけど
命令され意義を与えられると
恐るべき正確さと勤勉さでこういうこともやってしまうところも
いま「日本人」「ヤマト民族」とかって声高にその優越性を主張する人たちがいて
その昔ドイツ人もアーリア人優越とか言ってませんでしたか
なんか背筋がぞっとした……
部隊のあった平房(ピンファン)を日本人が訪れると必ず嵐になる…
というジンクス通り、松谷さん一行が取材に訪れると現地は大荒れの天気、
踵を返した途端に虹がかかったという、あとがきに書かれたエピソードも何とも重い
松谷さんの渾身の作。
こういう本は読み継がれないといけないって思います
それはそうと…
直樹、って、ちいさいころ(前作)も まぁーなんかいい子すぎるんじゃないの
って思いましたけど
青年になっても「いい青年」すぎるわね?
母親(ってか松谷さん)の理想の息子像??( ̄m ̄〃)
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