2015年04月29日

「現代の民話」


現代の民話〜あなたも語り手、わたしも語り手〜 --- 松谷みよ子/著 中公新書 2000

この頃まぁ一部偶然もあるんですけれども
松谷さんの本を続けて読んでます
まだエッセイも読もうと思って買ってあるのよ

日本各地を民話を求めて聞き取りに歩かれた松谷さんが
伝わる昔話だけじゃなくって
今まさに、生まれようとしている数々の現代の民話に出会われて
そのことに気づき、ひかれていく様子が書かれていて

昔話もかつてはそうして生まれたものだって
そのdynamicなイメージにどきどきします


「人は生きていくなかで、自らも気がつかないうちに語り手となり、
民話を生みつづけているのだ」



そしてわたしにもそんな中にいた覚えがいくつかございます


本書にはそういう現代の民話がいくつも収録されておりまして
中でも
戦争の時の話は…その悲惨さと切なさに胸をうたれるのですが


松谷さんはそのうちに、「被害者としてもの戦争」だけではなく
「加害者としての戦争」も語らねばならないと決意されるのです


その話(戦争に行かれた方々の体験談)は
ここにもいくつか収録されていますが
信じがたいそれはそれは残酷なもので…

人間は鬼になれるのだと
いやそれが人間というものか


そして生きて帰ってきて
日常に戻って
「そんなふうに、人間らしくくらすようになってから、
ある日とつぜん、
『なんてひどいことを、おれ達はしたんだろう』って、そう思ったよ。
ところが、そう思った日から、夢でうなされるようになってなぁ。
こんどはおれの首が、針金でしめられる夢なのさ」


ここに戦争の恐ろしさがあると思うのです

ISISとかイスラム国とか言われている集団が
目を覆う残虐なことをして私たちは「信じられない」と他人事のように
思うけれど

日本人だって過去に集団でもっと残虐なことをしていて
それはしかも普通の人たちであったのです
(それが「あるはずがない」というのは想像力が全く足りないし
かつ人間というものへの洞察も致命的に不十分なのだと思います)

洗脳だけではなくてもっとそら恐ろしい
その状況へ追い詰めていくなにかがあった(そして今もある)のだとおもいます

そしてそれは
被害者だけではなく加害側の人たちをも壊していく

松谷さんはこんなことも残そうとされていたんですね
そして
残念なことにあまり知られていないのではないかなぁ
もっと光を当ててもいいのにと思います

特定のだれかではない、人間の持つ性質だから
そして人間というのは忘れやすいものだから
語り継いでいかないといけないのだと思います



最期のほうで

「文献と口承というのは行ったり来たりしているもの」というくだりがあります

ストーリーテリングをしているわたしたちにはなにより勇気づけられることでした

posted by しろくま at 15:19| Comment(0) | こんなん読みました^^
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