2014年08月12日

「間宮林蔵」


間宮林蔵 --- 吉村昭/著 講談社文庫 2011

1987年初出版
この文庫版の装丁がなんとも素敵でしびれます

アムール川へ行ったものだから
なにかかかわりのある物語を読みたくなりました


間宮林蔵。

間宮海峡の発見者、っていう名前くらいしか知らなかったわよ

農家に生まれて、見込まれて役人の用を手伝うようになり
その後測量の手法を身につけて樺太から北方へ向かう…

って
波乱万丈の人生です

何か大きな運命の手を感じるけど
でも何かに導かれて生きた...とも思えないのが
この人が強い意志と慎重な目配りとを持った実際的な人だったからかなぁ

読みながら強く感じたのは
当時の日本って
(モチロン頼む人物は吟味してあったのでしょうが)
託したお金は滞りなく届く
依頼した事柄はきちんと伝えられる
あてた手紙は正確に届けられる

大金でも、貴重なものでも。
人を信頼できる社会だったのだなぁってこと

頼まれたことに責任を持って誠実に遂行する
って私たちの今の社会は受け継いでいるかなぁ

誠実であること
正直であること
を大切にいきていきたいよね…


本書の前半は樺太およびアムール川河口域の探検の描写です
おもしろーーーい!

当時日本の人が蝦夷に行くと、妙な病にかかることが多かったのだけど

地元のアイヌと同じ食生活をする
ということ(彼の人生の大きな山の一つ)を知って乗り越えていくあたりや

食だけではなくて厳しい探査旅行の中で
冬の毛皮は熊皮ではなく犬皮がよい
…熊は冬ごもりをするけど、犬は雪の中でも平気で寝るし、毛皮の雪離れもよいから…
って理解するあたりも

リアリティがあっておもしろかった。
(でもさ。実際に身にしみるまで分からなかったのねー)

アイヌのラロニとの友情らしきもの?も胸を打ちました
(二人で逗留先のギリヤーク人の村に溶け込もうと苦心するあたりは、
面白いというか微笑ましいというか…でもね、必死なのよね)

その厳しくも魅力的な旅行記は本書の半分で終わっていて


後は隠密…単独の命を帯びた、調査的な仕事を依頼され続けた後半生が
描かれています

地図を国外へ持ちだそうとしたシーボルトのことを憤っていたようだけど
シーボルトが世界に紹介してくれたおかげで
間宮海峡発見のことが世界に評価されたのだもんね
禍福はあざなえる縄の如し、ってね

時代のあわいというか、変動期に生まれた異能だったのだなと思います
おもしろかったです!


posted by しろくま at 21:36| Comment(0) | こんなん読みました^^
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