エピタフ 幻の島・ユルリの光跡 --- 岡田敦/著 インプレス 2023
北海道 根室の少し南に
ユルリという名前の島があって
(アイヌ語で「鵜のいる島」なんだとか)
そこには かつて使役していた人が残した、馬だけが住んでいるという
ユルリの馬を撮っている写真家の方が本を出したということで
6月の発売すぐに読みました(喰いつきぎみ)
人も住んでいない立ち入り禁止のユルリ島での撮影許可が降りるのに
2年もかかったそうです
文章もこの写真家の方でね
ユルリの馬たちの周辺の方々を取材されているのだけど
もちろんルポライターとかではないから
昔ユルリで馬たちと暮らしていた人たちへの聞き取りも
がっつり行かなくて・・・2年とかポンと間が空いたりして
雄馬を間引かれた島の馬たちはもう繁殖もしないから
馬も減る一方
ユルリの馬たちを知っていた人も減る一方
この本の中にはそんな北の空気と
静謐な時間がパックされていて
本を開くと目の前にほどかれていくようです
装丁も素敵なんだなー
私の妄想の中では
このまま減る一方のユルリの馬たちの
(とはいえ5年前に仔馬が3頭加わったと本書にありますが。)
最後の1頭は
どんなに悲しく怖しいだろうかと
日本の北の端にこんな馬の楽園があるという
以下覚書です
「馬種の改良をライフワークとした藤作氏は、自らの理想とする馬を『四肢のしっかりした、比較的小型の、目のぱっちりした馬』と表現していたという。
この話を初めて聞いたときには『目のぱっちりした』という言葉がやや意外なものに響いたのだが、氏はそれを『素直な頭の良い馬』といった意味で使っていたらしい。
馬の頭の良さ、素直さは目に現れる。
藤作氏は経験から、それをよく知っていたということなのだろう」