2020年12月19日

「大地よ! アイヌの母神、宇梶静江自伝」


大地よ!〜アイヌの母神、宇梶静江自伝 −- 宇梶静江/著 藤原書店 2020

宇梶静江さんといえば、布絵作家で俳優の宇梶剛士さんのお母様。


セミ神さまのお告げ


シマフクロウとサケ


トーキナ・ト

はどれも、独特の雰囲気と迫力を持った絵本で、両方とも本棚にあります。読み聞かせに使ったことは多分ないけれど。

うちの父よりも一つ上、の宇梶さんが
子どもの頃過ごした北海道の村での様子、
それから娘時代の話、
東京に出てこられて就職してからのこと
息もつかせぬ面白さがあって興味深く読みました。
ご自身の体験のことだから、面白いというのは失礼かもしれないけれど。

うちは母が北海道出身で、わたしが10歳になるまで北海道から出たことがなかったので
アイヌの人たちのことは、その差別のことは日常周りにあったようで
かわいそうだったよ…とくらいしか話してくれたことはないんだけど

で、わたしも本で読んで知っているくらいなんだけれども

この本を読んでやっぱりなんて恥ずかしいことだろうと思うし
Nikeのコマーシャルでしたっけ、この頃話題になっているけれども
それをみて「日本には差別はない」って抗議をする人がいるんだっていうのを聞いて
それもまた信じられない思いでいます。

自分の尊厳をどうにか保つために周りを低くしようとする心持ちは
多かれ少なかれ誰の心の中にもある…ある意味魅力的なもので、
心しておかないとふと出てしまう。

宇梶さんのおっしゃるように、アイヌにはないのかしら。

アイヌの伝承や昔話の中に出てくる人々は、とても人間臭かったけれども。

ところで
読みながら、自分の無知に愕然としたところがありました。

宇梶さんのお母様は文盲、
5人いらっしゃる兄弟姉妹のうち誰も、読み書きができるものはいないと。

うちの父母の世代ですよ。

日本人は江戸の昔から文盲の人が少なかったと
思い込んでいたわたしの想像力の中に
貧困を強いられ差別に苦しむアイヌの人はいなかったんだな。

自分の無知を恥ずかしく思いました。

羆と書いてヒグマ、って読むのも初めて知ったかも。なるほどー!


そうそう。
前述した通り宇梶さんは古布絵作家なんですけど
(その前にもいろんなことをされていますけれどもね。)
62歳の時に古布絵に出逢われて、それからアイヌ刺繍を本格的に習い始められたんだそうです
素晴らしいわね。なんだか、励まされる思いだな

心に残ったところ。

「2008年6月6日、衆参両院は全会一致で、『アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議』が議決します。
これは、立法府である国会が、行政府である日本政府に対して、アイヌ民族を先住民族とするよう、『求めた』決議です。
一歩前進というところではありましたが、もともとの決議案が『アイヌ民族を先住民族とする決議』出会ったことを考えれば、日本の統治機構の煮え切らない狡猾なやり口が透けて見えます。
国民の代表であるはずの国会議員によって政治の内実を決定するのは本来立法府の仕事です。
一方、行政府は、立法府の決定を執行するための機関であり、その担い手である官僚は国民を代表するものではありません。
アイヌ民族が先住民族であるかどうかの判断を避けてきた行政府に立法府が突きつけるべき決議は、やはり『アイヌ民族を先住民族とする決議』であったはずです」


確かにそうだと思うし、
姉茶から出てきた小さい女の子であった宇梶さんが、このようなことを訴えるようになるまでのその来し方を思うと
胸が詰まる思いがします。

それから
こんなくだり。

「何を聞いたのかは、ほとんど覚えていませんが、このことだけは思えています。
おじいさんも、おばあさんも、『おれたちはな〜、ばかにされる人間たちではないんだよ。とてもすばらしいんだよ。だからたのむよ』と」


カムイノミに集まった老人たちが、子どもたちに話すときそう言っていたそうです。

先日お会いした福田先生を思い出したわ。

私たちは素晴らしい〜存在!

生きてるだけで、素晴らしい存在。
本当にそうなんだもの
みんながそう思える社会にしたい。
そうしたら、差別も諍いも戦争も、不要なんじゃない?
posted by しろくま at 17:23| Comment(0) | こんなん読みました^^